ふりゆくもの

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救命女性に「土俵から下りて下さい」とアナウンスされたことについて

 

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京都府舞鶴市で行われた相撲巡業で市長が倒れ、市長を助けるために土俵へ上がった看護師の女性に対し、行司が「女性の方は土俵から下りて下さい」と何度もアナウンスをしたことがニュースになっています。

 


女性は土俵に上がってはいけない。

 

これは、相撲の伝統とされています。

 


女性が土俵に上がることを禁止する伝統・しきたり・習慣があり、それを続けるということについては、分からないこともありません。

 

相撲が神事とされているからです。

 

 

 

私(の「家」)は地元神社の氏子です。

 

神社のことは、主に男性が行います。

 

女性の多くは、年配の方が関わります。

これは、家に上の世代がいるなら、上の世代が家を代表するからそうなるのだろうと思っていましたが、色々と考えると、それだけではないのだろうと考えるようになりました。


私は、多少、神社にまつわる風習のようなことを祖父母や父母から教えられてきました。

祖母や母は、「女性が生理(月経)中には、神様の前に出ては(行っては)いけない」と言っていました。生理は「穢れ(けがれ)」であるからと。

 

そして、私の住む地域とは関係なく、生理中かどうかなど関係なく女性が「穢れ」た存在であると考える時代(地域)もあったようです。

さらに、昔は、出産も「穢れ」でした。

 

 

女人禁制とされる場所は、「神聖な場所」と言われます。

山も、土俵も。

 

女人禁制とされる理由は、「神聖な場所だから」と言われることが多いです。

「神聖な場所だから女人禁制である」ということに付け加えてもう少し詳しく言うならば、「女性は神聖ではないから(不浄であるから)だ。」「女性は汚いから神聖な場所にふさわしくない」ということなのではないでしょうか。

 

こんな風に、「神聖な場所に女性を入れちゃいけないんだ」という伝統・風習があちらこちらにあって、その理由は、ただただ「だって女なんだもん」「だって女は汚いんだもん」というのみだったりします。

ならば、男性は神聖な場所にふさわしいほどにきれいなのでしょうか。

(おそらく、今の若い人はそんなこと思っていないと思いますが…。)

 

 

人間は、生きていたら、新陳代謝で垢が出るし、排泄物も出て、洗い流さないと臭ってくるし、どんどん汚れていく。それは男も女も同じです。

男も女も生理現象があります。白いか赤いかの違いだけです。

出産の現場は、きれいとは言いづらいです。赤ちゃん以外にも、色々と大量に出てきます。

 

人間が生まれて生きて死ぬって、きれいじゃないですよ。美意識は人それぞれですが、それは置いておいて、衛生上は、ある程度の処置・処理をしないと、人間はきれいじゃいられません。ほっとけば、ひたすら汚れていきます。他の動物と同じ経過をたどるだけです。

 

でも、昔の男性は、それが分からなかったのか、分かっていたけど自分より下の存在がほしかったのか、女性を汚いものとして下に扱った………と、私は考えています。

 

それ以外にも、月経や出産の血から死(=「穢れ」)のイメージが浮かび上がったり、出産で命を落とす母親を見て死を感じたり、出産で人の誕生に触れることで人の死を連想してしまったりするせいで、月経や出産を「穢れ」としたのかもしれません。

(これは妄想です。まだまだ勉強しなければいけません…。)

 

 

 

相撲に携わる方が、土俵に女性を上げることがとんでもないことで、考えられないことだと考えていることは、分かります。

そう教えられて、そう思い込んでいて、それが当たり前の環境に身を置いていれば、そうなります。

でも、それを守れば守るほど、「女は汚い」と言っていることと同じだと感じる人もたくさんいることを、それでいいのか、よく考えていただきたいな、と思います。

(「女の神様が嫉妬するから」と考えている方には、この説明は当てはまりませんが…。)

 

 

これは人の「考え方」「思想」に関わることでもありますから、「時代だから」「時代に合わせて」ということだけで伝統・しきたり・風習を変えさせるのが適切なものでもないような気もします。

でも、「それを貫けば、今の時代、このように受け取られますよ。」という意見があることを考えておいた方がいいのかな、と思います。

 

これと、相撲協会公益法人認定しないことは別問題なので、それはすればいいと思います。

相撲に携わる方々が「土俵に女性を上げてはならない」という考え方を持つことと、相撲協会を「公益法人」じゃなくすことは別問題です。

 

 

 

日本の神様って、人間っぽいんですよね。

慈悲深い優しい神様ばかりじゃなくて、荒れ狂う神様もいる。だから、土地の神様を鎮める儀式があったりして。あれ、我々の無事をお祈りするだけじゃないんですよね。どうか、よろしくお願いします、静まっててください、ってお願いしてたりするんですよね。

だから、神様が嫌うことを少しでも避けるっていうことで、女人禁制としている伝統があるのは、分からないではないです。

それは、人命救助だから許されるわけではないことも、分からないではないです。神様にとっては、人命救助だからとか関係ありませんから。

むしろ、神様がいるはずの場所で何かが起きてしまったという現実の意味を考えると怖いですけど…。(神様が何かに怒ったからかもしれませんよね…。それを鎮めるために相撲を取る意義があるのでしょうけど…。)

 

 

 

女性が「穢れの身」「不浄の身」と扱われる世界は、いつまで続くのでしょうね。(ため息)